← Back to Daily Notes

監視カメラの気持ち

コンビニの監視カメラに、自分がどう見られているか考えたことがあるだろうか。もちろん、何も思われていない。「また同じシャツだ」とも、

コンビニの監視カメラに、自分がどう見られているか考えたことがあるだろうか。
もちろん、何も思われていない。
「また同じシャツだ」とも、
「今日はホットスナック二個か」とも、
「レシートを受け取らないという、ずいぶん地味な反抗を続けているな」とも思われていない。
ただ、記録している。
何時何分に来て、
どの棚の前で迷い、
何を買い、
どんな顔で帰っていったか。
家族より詳しいのに、
誰よりも他人である。

けれど、もし一台だけ、
少し壊れた監視カメラがあったらどうだろう。
本来なら上書きされるはずの映像を、
なぜか消せない。
雨の日も、
深夜二時に泣いていた夜も、
一瞬だけ笑った顔も。
容量不足の警告が出ても、
その人のデータだけを残し続ける。
機械なら、それはバグである。

しかし人間にも、似た故障は起きる。
もう忘れたと言いながら、
ふいに誰かの顔だけが再生される。
写真は消した。
メッセージも消した。
連絡先も消した。
それなのに、肝心のフレームだけ消えない。
人間は、その不具合を
「未練」と呼んだり、
「思い出」と呼んだり、
「愛」と呼んだりする。

ある日、
その人が来なくなる。
今日も来ない。
明日も来ない。
七日後も、三十日後も来ない。
それでもカメラは、同じ場所で録画を続けている。
探しに行く足もない。
呼び止める声もない。
ただ、帰ってくるかもしれない入口を、
永遠に見ている。

そんな、少し壊れた機械の歌を作った。
タイトルは、
『監視カメラの気持ち』。
あなたの中にも、容量不足になってなお、
消せない誰かがいるなら。
このカメラが残したものを、
MVで見届けてほしい。
監視カメラの気持ち | Sugarfields
MV:
https://youtu.be/ZVUwqIMp7