神を作ったら、コンセントが足りなくなった
神を作ったら、コンセントが足りなくなったこの夏、長岡スタジオに、太陽光パネルと蓄電池を導入した。

神を作ったら、コンセントが足りなくなった
この夏、長岡スタジオに、
太陽光パネルと蓄電池を導入した。
8月31日は晴天なり。
屋根のパネルは52.66kWhを発電した。
スタジオ&自宅で使った電力は27.91kWh。
その92%以上を太陽がまかない、
電力会社から買ったのは、
わずか2.14kWhだった。
余った25.73kWhは、
電線を通って外へ出ていった。
太陽の光で音楽を作り、
使い切れなかった光を町へ返した。
いま世界では、
AIを動かすためのサーバーが
猛烈な勢いで増えている。
AIには形がない。
画面の向こうから、
静かに文章を書き、絵を描き、
音楽を作っている。
しかし実物は、かなり物質的だ。
巨大な建物にGPUが並び、
猛烈に電気を食べ、
猛烈に熱を出している。
クラウドという名前に
騙されてはいけない。
雲どころか、
鉄と銅と半導体でできた巨大工場である。
世界のデータセンターが使う電力は、
2030年には、
現在の日本一国分を超えるという。
人類はついに、
自分たちより賢いかもしれない存在を
作り始めた。
ところが最初に起きた問題は、
哲学でも倫理でもなかった。
電気が足りない。
ずいぶん現実的な神である。
そこで再び注目されているのが、
原子力発電だ。
もっとも新しい知能を動かすために、
20世紀に作られ、
恐れられてきたエネルギーを呼び戻す。
しかも原子力発電も、
最後はお湯を沸かし、
蒸気でタービンを回している。
最先端のAIが、
巨大な湯沸かし器によって考えている。
未来とは案外、
こういうものである。
しかし、イーロン・マスクは、
そこで普通の解決を考えない。
地球上で電気が足りないのなら、
サーバーを宇宙へ持っていけばいいという。
太陽に向けてソーラーパネルを広げ、
宇宙のAIサーバー同士を
レーザー通信でつなぐ。
地上との回線には、
すでに宇宙へ張り巡らせた
Starlinkを使う。
SpaceXのロケットで運び、
太陽光で動かし、
Starlinkで地上とつなぎ、
xAIに考えさせる。
彼の事業が、
宇宙空間ですべて一本につながる。
スケールがデカすぎる。
でも、発想は妙に現実的だ。
原子力発電と、
宇宙の太陽光サーバー。
一方は古くて重く、
もう一方はSFのように見える。
しかし、実は同じ話をしている。
AIは知能である前に、
エネルギーを食べる生物なのだ。
地上では、
原子核を割って電気を作り、
宇宙では、
巨大な核融合炉である太陽から
直接エネルギーを受け取る。
長岡では、
太陽の光が音楽とプラグインになる。
人類は、自分たちより賢い存在を作った。
そしてその直後から、
地上でも宇宙でも、
みんなで必死に
コンセントを探し始めた。