ビッグマックは単品で
私はマクドナルドに行くと、ビッグマックを単品で頼む。ポテトもコーラもつけない。ビッグマックと、ホットコーヒー。

私はマクドナルドに行くと、ビッグマックを単品で頼む。
ポテトもコーラもつけない。
ビッグマックと、ホットコーヒー。
マクドナルドにおけるビッグマックは、
ラーメン屋における券売機左上の商品だと思っている。
初めて入ったラーメン屋で迷ったら、
とりあえず左上を押せばいい。
そこにはたいてい、店主が「まずはこれを食べてくれ」と差し出す、その店の基本形がある。
マクドナルドなら、それがビッグマックだ。
二枚のパティ、チーズ、レタス、ピクルス、独特のソース。そして、途中にもう一枚挟まったバンズ。
マクドナルドのフラッグシップ。
ところが、ビッグマックを単品で頼むと、
どこか注文が未完成であるような空気が漂う。
「セットにしなくていいんですか?」
ビッグマックの横にはポテト、その横にはコーラ。
三人揃って初めて、正式なマクドナルドになるらしい。
しかし、ビッグマック単品は525キロカロリー。
成人の一食として、それほど無茶な数字ではない。
見た目ほどの極悪人ではないのである。
ところが、ポテトMとコーラMをつけると、
一気に1,079キロカロリーになる。
ビッグマックが二個になったわけではない。
横にポテトが座り、コーラが立っただけだ。
それなのに、脇役二人が追加するカロリーは554キロカロリー。
主役のビッグマックを超えている。
「セットのほうがお得ですよ」
たしかに金額としてはお得なのかもしれない。
しかし、体から見れば、糖と油のまとめ買いである。
しかも、この三人はチームワークが良すぎる。
ビッグマックを食べて、コーラを飲む。
甘くなった口でポテトを食べる。
塩辛くなったので、またコーラを飲む。
そして、再びビッグマックへ戻る。
三者が互いを呼び合い、食欲だけを回転させ続ける。
ほとんど永久機関である。
ただし、生み出されるのはエネルギーではない。
摂取カロリーである。
もちろん、セットを食べたい日は食べればいい。
だが、ビッグマックを食べたいだけなら、
ビッグマックだけでいい。
ラーメンを頼むたびに、
半チャーハンと餃子をつける必要がないのと同じだ。
ビッグマックは、
ポテトが来るのを寂しそうに待っているわけではない。
あれは、あれだけですでに完成している。
だから私は今日も、
券売機の左上を押すような気持ちで、
ビッグマック単品とホットコーヒーを頼む。
節制でも我慢でもない。
マクドナルドのフラッグシップを、最も純粋な形で食べているだけなのである。
吉野家でも結局いちばん美味しいのは普通の牛丼だと確信している私の新譜はこちら。
最新作がフラッグシップなのはミュージシャンなら当然。
https://nex-tone.link/A00222989